定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

読書

「ラオスにいったい何があるというんですか?」と ムラカミ・マジック

本屋で文庫本の棚に目を流していると、オヤッ?と引っかかるものに出くわしました。変わったタイトル!「ラオスにいったい何があるというんですか?」(村上春樹) 村上氏の作品のタイトルは、他の本のタイトルとかなり違っています。一般的なタイトルでは簡…

「海辺のカフカ」と 奥深き村上ワールド

「海辺のカフカ」(村上春樹)上下巻を読み終えました!これで、長編・中編の主な村上作品10編の小説を4ヶ月の間に読破したことになります! 「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド…

「村上春樹 雑文集」と「耳掃除の心地好さ」

思えばふとしたきっかけから勢いで、ヒョイッと「ムラカミ丸」に跳び乗って海原へ出たわけでしたが、早3ヶ月余りずいぶん遠くまで来たものです!初めは、ちょっと潮の香りをかいですぐに引っ返すつもりだったのが、ドップリハマってしまうことになるとは・…

「ねじまき鳥クロニクル」と 牛河さん

文庫本3冊分1,400ページにもなる長い長い物語「ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹)を読み上げました!全編を通して面白く読み通しましたが、すべてが理解できたわけではないと思います・・・ この作品では、いつものように真面目でいて一風変わったと…

"The Great Gatsby" と「グレート・ギャツビー」(その2)

前回ブログで "The Great Gatsby" を原文で読んだことを書きましたが、その後さらに、村上春樹訳の「グレート・ギャツビー」も読んでみました。原文を読み終えたとき、物語の展開は一応理解できたものの、あちこちに霧がただようような感じが残り、読み間違…

"The Great Gatsby" と「グレート・ギャツビー」

村上春樹氏の「ノルウェイの森」なんかを読むと、スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」ほど氏が読者としてまた作家として感銘と強い影響を受けた作品はないように思えます。また、後に自ら翻訳まで行っています。村上文学の原点は「グレ…

「収容所のプルースト」と 過酷な環境下の講習会

しばらく前、新聞の書評欄で紹介されている本のタイトルを見たとき、強烈な不協和音が頭の中で鳴り響きました!そのタイトルとは?「収容所のプルースト」! プルーストと言えば、あの有名な二十世紀を代表する大作「失われた時を求めて」を著したフランスの…

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」と「そういうの好き」

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」(村上春樹)を読みました。著者初期の三部作「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」を読み終え、それに続く長編小説なのと変わったタイトルに惹かれこの本を手に取りました。上下…

「1973年のピンボール」と「1973年のシャボン玉」

「1973年のピンボール」(村上春樹)を読み終えたところです。 いい音楽を聴き終えた後のように、身体の隅々までさわやかさが行き渡り気持ち良い余韻に浸っています。読んでいる途中も、特に物語の流れに乗ってくる後半部では、どうしてこんなに気持ちよ…

「若い読者のための短編小説案内」と「異邦人の眼」

「みみずくは黄昏に飛びたつ」(村上春樹・川上未映子)の中で触れられていたのがきっかけで、どんなことが書いているのだろうと「若い読者のための短編小説案内」(村上春樹)を読んでみました。この本は、そもそも村上氏がアメリカのプリンストン大学で日…

「みみずくは黄昏に飛びたつ」と アドリブ演奏

ここ2ヶ月余りの間、たて続けに村上春樹作品を7編読み通しました。最初は、以前に村上作品を読もうとしたとき拒否反応を起こしたこともあって、果たして1冊すら読み通せないのではないだろうか?と恐る恐る読み始めたのでした!丁が出るか半が出るか、ほ…

「騎士団長殺し」と 微分方程式

「騎士団長殺し」(村上春樹)第1部・第2部を読み終えました。まず、全編を通じて平明で読みやすい文章に感心しました。ボールの縫い目に指先を引っ掛け、ボールの軌道を微妙に変化させ打者の目をくらませて得意がるようなことはしません。いつも真っ直ぐ…

「騎士団長殺し」と「和」の匂い

久しぶりに YOGABOOK を持ち出してマクド店でブログを入力しています。風はまだひやっとする感じがありますが、日差しはもう春そのものですでに桜があちこちで満開を迎えている知らせも報じられています! テーブルに置いているショルダーバッグには、YOGABO…

村上春樹作品 と しなやかな感性

あらためて振り返ってみると、このところ二ヶ月近くずっと村上春樹作品に没頭しています。それも、これまで読んでこなかった、いや、読もうとしても読み続けることができなかったフィクションばかりを!そして、今現在も最新の長編小説「騎士団長殺し」を面…

「ノルウェイの森」と 1969年

真紅と深緑色に上下巻の表紙を彩られた「ノルウェイの森」(村上春樹)を読み終えました。美しくももの悲しい音楽を聴いたあとのように余韻に浸っていると、物語の断片が次々と浮かんでは消えていきます・・・ この物語も7、8年前に読もうとして手に取った…

「BOOKOFF」と「騎士団長殺し」

何年振りかで「BOOKOFF」に本の売却に行って来ました。読む本は、書店で買ったり図書館で借りたりしていますが、いつの間にか買った本で書棚が一杯になってしまい、「断捨離」が必要になります。 書棚が溢れないよう主にかさばらない文庫本を買うことにして…

「羊をめぐる冒険」と「虚・実ミックスワールド」

「1Q84」を読んだ後、こんどは村上春樹氏の初期の作品「羊をめぐる冒険」を面白く読みました!これまで氏の小説を読んだのは数えるほどですが、それでも他の作品との関連性が推しはかれました。 この物語の特に最初の方では、デビュー作「風の歌を聴け」…

「1Q84」と フィクションの魅力(その3)

「1Q84」の物語を読んでいくと、物語の中の現実世界のほかに別世界が現れ、登場人物たちがとまどう様子が描かれています。そこでは、夜空の月が重要な意味を持ちます。フィクション世界のなかのフィクション世界!ああ、ややこしや〜! でも、一歩、いや…

「1Q84」と フィクションの魅力(その2)

前回ブログで述べたような思いを抱きながら長編小説「1Q84」(村上春樹)を読み始め、最後まで物語の面白さに堪能しながらこの大部のフィクションを読み終えたのでした。 では、8年前に感じた違和感(それまで読んできた文章やストーリーと大きくかけ離…

「1Q84」と フィクションの魅力(その1)

「1Q84」(村上春樹)を読み終えました。BOOK1・2・3の3分冊で各巻が500〜600ページの大部な長編小説!8年前にはじめて発売されたとき、本屋の店頭で少し目を通しただけであえなく撤退したシロモノ!最近、村上氏の小説を2冊(短編・中編)読…

「1Q84」と「リベンジ・マッチ」

「1Q84」(村上春樹)3分冊のBOOK1を読み終えたところです。この本は2009年に発表されましたが、発売前から書店の前に長い行列ができたり、テレビ各局がいっせいに取り上げるなど大変な評判になりました。 今も鮮明に覚えているのは、書店の店頭に…

「バッテラ・源氏物語・1Q84」と 移ろいゆく嗜好

定年後の生活を送るようになってからすでに数年を経た今まで、自分では性格や嗜好は二十歳(はたち)の頃とほとんど変わっていないという自覚がありました。ところが、ここ数年のことを振り返ってみると、そうとも言えないという気がしてきました! 子供の頃…

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」と フロンティア「村上ワールド」

先月末、長く敬遠してきた村上春樹氏のフィクションの中から「風の歌を聴け」をふとしたことから手に取り、最後まで読み通すことができた経緯をブログ(「風の歌を聴け」とよみがえる記憶)に書きました。それに続いて、手頃な長さの「色彩を持たない多崎つ…

「介護士からプロ棋士へ」と 遅咲きのプロ棋士

今、将棋界で破竹の勢いを見せている藤井四段が、中学生で史上はじめての五段への昇段決定が昨日報じられ大きな話題となりました!藤井五段が、この半年間戦ってきたクラスは、順位戦C級2組。この組に所属する50人の棋士は、それぞれ10戦ずつ戦い、その…

「風の歌を聴け」と よみがえる記憶

前回ブログで、村上春樹氏の「職業としての小説家」を読み、ずっと前に途中で読むのをやめてしまった氏のフィクションをもう一度読んでみようかと思ったのでした。そして、「風の歌を聴け」をある緊張感をもって読み始めました! 「風の歌を聴け」は、氏がは…

「職業としての小説家」と 村上春樹のオリジナリティー

「職業としての小説家」(村上春樹)を読みました。書店で本のタイトルを見回しているときこの文庫本が目に入り、読んでみようと思いました。村上春樹氏の作品に対しては、「親近感」と同時になにか「違和感」のようなものも感じていたので、その理由がわか…

「時間とはなんだろう」と「悠久たる時の流れ」

ブルーバックスの「時間とはなんだろう」(松浦壮)を読みました。振り返ってみると、この手の本(一般向けにやさしく書き下ろされた理系本)は、10年に一度くらいの割合で手に取っているようです。 普段は日々の雑事に追われ、あわただしくその日暮らしの…

「ぼくの読書法」と「神田神保町」

前回、本棚に長く眠っていた「モダン・ジャズの勉強をしよう」を取り上げましたが、本棚にその本と並んで、同じく植草甚一の「ぼくの読書法」があったので読み直してみました。 「JJおじさん」は、49歳でジャズに目覚めたとき、一途にジャズにのめり込んで…

「モダン・ジャズの勉強をしよう」と「JJおじさん」

家の本棚に、「JJおじさん」こと植草甚一の「モダン・ジャズの勉強をしよう」があったので、手に取ってパラパラページをめくっていると、なつかしい昔がよみがえってきました。 「JJおじさん」は、もう40年ほど前に亡くなりましたが、わたしたち団塊の世代…

「ゴッホの手紙」と ゴッホの情熱・苦悩

ひと月ほど前、「ひまわり」の絵画で有名なゴッホについての本を読み、ブログ「ゴッホの耳 と ゴッホの思い出」をアップしました。その関連で、文芸評論家小林秀雄が半世紀余り前に著した「ゴッホの手紙」を読みました。 ゴッホは、生涯を通じて、全幅の信頼…