北極海航路 と「アグルーカの行方」
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胡椒(コショウ)は今でこそラーメンにパラパラ振りかけ、そのピリッとした食感を楽しむ手軽な香辛料ですが、その昔とても貴重で世界を動かす力を持っていたのでした・・・
15世紀頃のヨーロッパで最も繁栄を謳歌していたのは、ルネサンスの花開いたイタリア。
その富の源泉は、ベネチアなど、イスラム商人を介してアジアの珍しい物品を西ヨーロッパにもたらし巨万の富を得た地中海貿易。
まさに地中海はベネチアなどイタリア都市国家の独り舞台でした。
交易品の中で極めて高価で貴重だったのは、ナント、胡椒(コショウ)!
羊肉は中世ヨーロッパでは一般的な食肉で、その保存と臭み消しには胡椒はなくてはならないものでしたが、ヨーロッパには自生せず遠いアジアからはるばる運んでくるしかなかったのでとても貴重でした。
一方、ヨーロッパの最西端に位置し地中海貿易の恩恵に預かることができなかったのが、ポルトガルとスペイン。
羅針盤による航海術が発達したのを契機にポルトガルは、地中海を東に向かったイタリアとは異なり、南へ向かい、アフリカの南端喜望峰を回りインドに到達しました。
ポルトガルに先を越されたスペインは、西に航路を取りアジア目指して進んだ結果、アメリカ大陸の発見に至ったのは周知のこと。
こうして、各国地の利を生かしアジア目指して東へ、南へ、西へと向かったのでした。
それでは、ヨーロッパの中でも北に位置する、イギリスや北欧諸国はどうしたのでしょう?
東・西・南へ向かうアジア航路はすでに各国に牛耳られています。
残されている航路は?
そうです!
北へ向かう航路のみ!
こうして、地図のない未踏の北極海航路の探索が始まったのでした!
とっても前置きが長くなりましたが、今読んでいる途中の「アグルーカの行方」は、今から174年前、アジアへ抜ける北極海航路の探索に英国を出発し、北極の厳しい環境と飢えにより総勢129名全滅となったフランクリン隊についてのノンフィクションです。
著者は、昨年「極夜行」を出した角幡唯介氏。
著者は、友人と二人でフランクリン隊の辿ったルートを、食料やテントなどの荷物を積んだソリを引きながら徒歩で辿って行ったのでした。
途中、遭遇したのは、ホッキョクグマ、オオカミ、ジャコウウシ・・・
この先、展開が楽しみな「アグルーカの行方」!!