定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「極夜行」と壮絶な北極圏探検


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「極夜行」(角幡唯介)を読みました。
新聞の読書欄で、壮絶な本物の探検ノンフィクション、と紹介されていたので頭の隅に引っかかっていました。
後日、本屋でぶらぶら面白そうな本を探していたとき、タイトルを見て思い出しました。
本の帯にも本屋大賞 ノンフィクション本大賞」と大きくうたっていました。
これは面白くないわけがない!と本を手に取りレジに向かいました・・・

 

世の中は本当に広い!と本を読みながらつくづく思いました。
著者が新たな探検の地として選んだのは、北極圏のグリーンランド北西部!
それも12月上旬から年を超えて2月下旬までという真冬の厳寒期をわざわざ選んでいる!
その時期は、「極夜(きょくや)」と呼ばれ一日中太陽が昇らない!
月も昇らないときは完全な闇夜の連続、しかも気温は零下30度〜40度!

 

この頃寒くなってきたとは言え、日本の比較的暖かい関西に住んでいる身にとって、まったく想像できない荒涼とした世界!
地球上にそういう極地域があるということは知識としては知っていても当然のことながら実感がありません。
こういうノンフィクションを読んでいると、あたかも自分が著者の探検に加わっているような臨場感を覚え、零下30度の烈風に吹きさらされる場面では思わず身震いしてしまうほど!

 

また、こういう危険で壮絶な探検をわざわざ計画し実行しようとする人が世の中にはいるものだ、と驚きを禁じ得ませんでした。
命の危険を冒す極夜の探検、「極夜行」!
それも、単独行でお供は犬一匹!
食料や燃料を積んだ二台のソリを犬と一緒に引っ張りながら氷河やツンドラ地帯を踏破します。
行く道にはシロクマやオオカミの足跡がついていて、いつ姿を現し襲ってくるかわかりません。

 

感心したのは、寒さに強い犬とは言え、凄まじい吹雪の中、著者はテントの中で寝袋に入っていますが、犬の方はずっとテントの外の吹きっさらしのところにじっとうずくまり吹雪が止むのを待っているのです!
探検の途中、想定外のことが次々起こりドッグフードも底をつきかけたときなんかは、エサの量も少なくなりどんどん痩せて肋骨が露わになりながらも、ゼーハー息を吐きながら重いソリを引っ張る様は涙を誘うほど!

 

暗く長い極夜の世界をさんざんさまよいようやく村へと続く道にたどり着けたときは、思わずホッと息をついて本から顔を上げました・・・

 

探検中、自ら撮影したビデオカメラの映像と肉声が今週土曜日(12月1日)午後11時Eテレで放映されます!
「極夜 記憶の彼方へ〜角幡唯介の旅〜」