ジャズについての本というので「路上のジャズ」(中上健次)を読みました。
若くして病に倒れ世を去った芥川賞作家がジャズを語った本でした。
ジョン・コルトレーン、アルバート・アイラーなどコードに囚われないフリージャズを追い求めたように、作者は自身の生き方でも枠にとらわれないハチャメチャな生活を送りました。
和歌山県南部の新宮市で高校卒業後、大学受験で上京したものの受験しませんでした。
予備校にも行かず毎日ジャズ喫茶に入り浸りの生活で5年を過ごしました。
その間耳だけでなく全身で受け止めたフリージャズが、その後の創作で開花する土壌となったのでした。
作者が既存の枠をぶち壊したい欲望で求めたのはジャズだけではありませんでした。
ドラッグ!
高価なドラッグは手に入らないので鎮痛剤などを代用して毎日飲みまくり、もうろうとした意識の中、ノイズまがいの大音響のフリージャズに身をまかせる毎日・・・
こういうジャズやアルコール(さらにドラッグ)に明け暮れ、世の体制に背を向ける若者を描いた物語が頭に浮かびました。
そういえば3人とも、ジャズ全盛の戦後に育った同世代でした。
「路上のジャズ」を読み、作者の破天荒な生活とともに、ページを目で追いながら血の滴るような迫力ある文章に圧倒される思いでした・・・
凄まじいカオスから生まれ出でたジャズ・ロック!!