3つ前のブログ(「シャトゥーン ヒグマの森」と Chromebook)で紹介しましたように、ヒグマは、ノソノソ移動し愛嬌のある動物などではなく、想像以上のすさまじい破壊力と知能を備えた猛獣なのです。
その狂暴なヒグマに興味を持ち、大正4年、北海道三毛別(さんけべつ)で起きた日本史上最大の獣害事件(7名死亡、3名重傷)を題材とした「羆嵐(くまあらし)」(吉村昭)を読みました。
文字通り「熊手」のように、鋭い鋼(はがね)のような爪を何本も持った丸太のような前脚、その前脚から繰り出される、一撃でライオンの首をもへし折ってしまう凄まじい打撃で、肉をえぐられ、骨を折られ、なぎ倒され、逃げ惑ったあげくヒグマの餌(えさ)と化す開拓民とその家族・・・
人間の肉の味を覚えた人喰いヒグマは、餌(えさ)を求めて開拓民の家を次々と襲っていきます。
警察官を含む銃を持った大勢の討伐隊が、ヒグマの足跡をたどって撃ち倒そうとしますが、小山のようなヒグマが、討伐隊に向かって雪を蹴立てて突進するのを見たとたん、銃を放り出して一目散に逃げ去ってしまいました!
この無敵と思われた巨大ヒグマを恐れず、敢然と立ち向かったのは、酒癖が悪く皆から嫌われていた一人の猟師でした。
ヒグマの習性を知り尽くした彼は、討伐隊とは別行動を取り、ヒグマの後手から気付かれることなく近づいていきます。
ヒグマは、猟師と反対側を向いて立ち上がり、遠くの討伐隊が来るのを警戒して見続けています。
猟師は、落ち着いて銃を構え、ヒグマの背中の心臓部分に照準を当て、引き金を引きます。
B-A-N-G ! !
ヒグマは、跳ね上がって倒れましたが、再び立ち上がり、毛を逆立てて威嚇します。
早くも次の弾丸をこめた猟師は、こんどはヒグマの眉間(みけん)に照準を当て、引き金を引きます。
B-A-N-G ! !
ヒグマは、のけぞり、仰向けに倒れ、絶命・・・
このヒグマは、体重380kg、立ち上がると高さ3mにもなる巨大さですが、ほんとうにその恐ろしさを感じたのは、「三毛別羆(ヒグマ)事件」というサイトの写真を見たときでした。
事件現場に再現された、当時の粗末な開拓民の家とそれを襲おうとしているヒグマのレプリカ!
ヒグマの頭は、屋根とほとんど同じくらいの高さまであり、屋根や壁を草で作っただけの家はひとたまりもなく、ヒグマの一撃で押し潰されてしまいそうです!
もし自分がこの家にいたら、と思うだけで、背筋がゾクゾクッとします!
ヒグマの心臓を貫くように、読者のハートを貫け Chromebook !!