定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「百鍛将棋」と「ボナンザ」

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前々回のブログの締めくくりのように、タブレットの無料アプリ「百鍛将棋」の「レベル13」(このアプリの最強レベル)に何度挑戦しても負かされてしまうので、「待った」を駆使して撃破しようと考えました!

 

ところが、この「待った」は数回使うとそれ以降は使えなくなるように設定されているようでした。
また、その数度の「待った」も、動画の広告を見てからでないと使えなくて「うざっとい」ので、結局、また「待った」なしで挑戦し続けることになりました!

 

なかなか柳に跳びつけないカエルのように、跳びはねては地面に落ち、落ちてはまた跳びはね、そして、また地面に叩きつけられる、という結果の出ない挑戦に果敢に挑み続けました!
とうとう、「百鍛将棋」の「レベル13」との戦績は、33戦0勝33敗という無残な結果になりました!

 

この頃、前回ブログで紹介した本を読み、将棋ソフト「ボナンザ」の存在を知りました。
東北大学卒業後、カナダで物理化学を研究していた保木氏は、趣味で将棋ソフト「ボナンザ」を作りました。
「ボナンザ」は、「世界コンピュータ将棋選手権」に初出場・初優勝を果たし、その後、渡辺明竜王とも白熱した熱戦を繰り広げ、惜敗しました。

 

「ボナンザ」は、Windowsの環境で自由にダウンロードして無償で使えるので、さっそく YOGA BOOK with Windows10 で使えるようにしました。
同じく無償でダウンロードした「マイボナ」と組み合わせると、「棋力の強弱の調整」「指し手の戻し」(「待った」と同じ)が自由にでき、さらに、個々の局面で「定跡に基づく最善手とその後の展開」を見ることができるのです!

 

「百鍛将棋」の「レベル13」に負け続けた惨めなわたしは、「ボナンザ」の手を借りることを思いつきました!
どうしたかと言いますと、まず、「百鍛将棋」タブレットの横に、YOGA BOOK を置き、「ボナンザ」を起動します。
通常、対戦者は、「あなた」と「Bonanza」ですが、今回は「あなた」と「あなた」にして、先手・後手とも指せるようにしておきます。
これで、準備 OK です!

 

READY GO !
「百鍛将棋」で対戦を開始し、一手指すごとに「ボナンザ」の将棋盤にも同じ手を指します。
二つのまったく同じ局面の将棋が、並行して展開していきます。
こちらは四間飛車」と「美濃囲い」
要所で、飛車や角の大駒で相手の要(かなめ)の駒をぶった切る心づもりです。

 

駒組みが終わり、難しい局面に入りました。
ここで指し手を間違えると、そのまま敗けにつながってしまいます!
ここで「ボナンザ」の登場です!
「ボナンザ」の画面上方「ツールバー」に「ヒント」の文字があります。
そこをクリックすると、画面下に、「最善手とその後数手の展開」が表示されます!

 

目を凝らして見ると、早くもこちらの角を切る手が最善手として紹介されています。
こちらの角と交換する相手の駒は?
ヌ、ヌッ、桂馬!?(駒損だぞッ?)
まだ終盤でもないので、交換駒は、飛車・角でなくても、せめて金・銀にしたいところです!
桂馬のようなチャチな駒と替えて本当に大丈夫だろうか、と悩ましいところ!
でも、そこは「ボナンザ」を信じて前進するのみ!

 

このあと、ほとんど一手ごとに「ボナンザ」の「ヒント」に従って指し手を進めました。
すると、はじめチャチと思われた桂馬が大きな働きをし、こちらの駒がどんどん相手玉に迫っていき、最後は、こちらは「王手」を受けることなく一方的な完勝となりました!
33連敗のあとの貴重な1勝!
もちろん、これは、わたしと言うより、「ボナンザ」の勝利です。
それでも、鬱積していたモヤモヤが解消されました!

 

「百鍛将棋」を撃破した「ボナンザ」!!

 

 

 

「ボナンザ VS 勝負脳」と「人工知能」

ボナンザVS勝負脳 ――最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)

前回、前々回に続いて将棋関連の話題です。
「ボナンザ VS 勝負脳」(保木邦仁渡辺明を読みました。
この本は、10年ほど前に出版され、当時は、コンピューターはまだまだ将棋界の脅威にはなっていませんでした。
保木邦仁氏は、東北大学を卒業後、カナダのトロントの大学で、物理化学を研究していました。
チェスの世界チャンピオンがコンピューターに敗れたのに興味を持ち、公表されたプログラムを調べるうち、自分でも趣味として作ってみようと思ったそうでした。

 

チェスは、以前からコンピューター化する研究が出し尽くされ、すでに、世界チャンピオンを負かしてしまっているので、今さらという感じでした。
一方、将棋の方では、当時、コンピューターはまだまだプロ棋士を凌駕するには至っていなかったので、保木氏は、チェスのプログラムを将棋に応用して「ボナンザ」を作り上げました。
保木氏は、将棋の実力は初心者程度らしく、それ故、指し手の選択基準を自ら定めるのではなく、すべての指し手をコンピューターに検討させる手法を取りました。

 

さらに、過去の膨大な棋譜を使い、プロ棋士が選んだ指し手を最善手とし、コンピューターに機械学習させました。
そして、今から11年前の2006年、「世界コンピュータ将棋選手権」に初出場し、いきなり初優勝したのでした!

 

その翌年の2007年、渡辺明竜王と「ボナンザ」の特別対局が組まれ、中盤まで「ボナンザ」優勢かと思われましたが、その後、悪手を指し竜王勝利となりました。
この対局の後、「ボナンザ」の作者と渡辺竜王が、対戦を振り返って書いたのが、この本でした。

 

特に面白いと思ったのは、「ボナンザ」の作者は、自身が作ったプログラムが竜王と対戦している間、どちらが優勢か分からず、近くにいた奨励会の若者に尋ねていたことでした!
自分の組んだプログラムが、いつの間にか作者の手を離れ、作者の実力をはるかに上回ってしまっている、というのは本当にアンビリバボー!

 

また、この本が出た10年前では、「電王戦」が始まるのはまだ5年先で、コンピューターがプロ棋士の前に立ちはだかり脅威となるのはまだまだ先のこと、さらには、そういう事態は到来しないだろう、というような竜王の希望的観測でもありました!
それからわずか10年後の今年、将棋界の最高位「名人」が山本一成氏の「ポナンザ」に敗れました!
ちなみに、山本一成氏が、保木氏の「ボナンザ」を参考にして作り、保木氏に敬意を払って名付けた「ポナンザ」は、この本が出た頃から作り始めたのだそうでした・・・

 

「ボナンザ」から「ポナンザ」へ、最強の「人工知能」!!