定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

図書館の老紳士

 会社生活を離れて平日の昼間、世間をウロウロしようとすると、なかなか居場所を見つけるのが大変です。サイモン&ガーファンクルの「オールド・フレンズ」で歌われている公園のベンチにすわって冬の夕暮れを待っている老人のように、お金がかからず居心地がよくて長時間過ごせるところを見つけるのは至難の業です。

 そういうときに、お金がかからず、冬は暖かく夏は涼しく、朝から夜暗くなるまで安心して過ごせる居心地のいい静かな場所があります。

 どこでしょう〜〜??

 図書館でしょう〜〜!!

 探せば無料駐車場付きの図書館も見つけられます。 ただ、「オールド・フレンズ」にとって天国のような場所ですが、急激に増えている団塊の世代をすべて受け入れるキャパシティは無いのでそこは競争となります。

 定年後、はじめて図書館に入ったときの驚きが今でも新鮮によみがえります。

 入口を入ると、すぐに雑誌・新聞コーナー、それに続いて様々なジャンルの本を収納した書架が並んでいるのですが、ずらーと「じいさん連中」が座って黙々と新聞・雑誌・本をほとんど動きもなく読んでいるのです。美術館に散らばって陳列している彫像を見ているようでした。

 

 ある時、新聞・雑誌コーナーの長いソファに座り雑誌をよんでいると、静かななかで急に大きな声が聞こえてきました。

 「このままでは、この先会社がどうなっていくか分かったもんではありません。いまなんとかしないといけないんですわ。」せっぱ詰まった口調で誰が話しているのかと思わず頭を上げて見回しました。 すると、少し離れたところに座っている身なりが良く品の良さそうな老紳士が、一人でしゃべっているではありませんか。 となりに座っている人は驚いた様子で知らない振りをして顔をそむけました。老紳士は、しばらく話すと立ち上がり去って行きました。

 また、別の時には、老紳士がいつもの調子で大きな声でしゃべり始めると、この老紳士が少しおかしいことを知らない男性が怒って言いました。「うるさい!みんな静かにしてるんやろ、静かにせえ!」 すると、老紳士は悲しそうな声でこう言いました。「わたしは、こういうことを自分が言いたくて言っているのではないんですよ!このまま放っておくと日本がどうなっていくのか分からないから、やむを得ず言ってるんですわ!」 ここで、うるさいと言った男性は、老紳士の異常性に気付き相手にしなくなりました。

 それからも老紳士をちょくちょく見かけましたが、しばらくのちに姿を見せなくなりました。

 最後に見かけた時に耳に残っている老紳士の言葉。 「◯◯くんをなんとかしてくれませんか! 彼のおかげでわたしの人生だいなしなんですわ!!」

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