定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

"boys mature slow" と ジャズ・アドリブ

Boys Mature Slow

 47歳からのニューヨークジャズ留学記「9番目の音を探して」(大江千里を読んだ後、さっそく著者のジャズ第1作目のCD "boys mature slow" (Senri Oe) を聴きました。

直訳すると「少年はゆっくりと成熟する」というタイトルは、自身の遅くしてジャズの世界に飛び込んだ想いを表しているのでしょう。

 

このCDには、わたしが若い頃、耳にした作者のポップな軽やかな曲調とは異なり、苦味を含んだニューヨークのジャズの香りが漂っています。
さすがに、耳も追いつけないほどのピアノの速弾きはありませんが、わたしのようにジャズピアノ練習の入口近くをウロウロしている者にとっては、参考になるフレーズを聴き取れる良い教材になるかもしれません!

 

最近、ジャズピアノの練習を再開したわたしは、もちろん(!)「アドリブ」はできません。
「枯葉」の初心者用の「アドリブ」の見本の楽譜をそのまま覚え、途中つっかえながらもなんとか弾き終える、という超低級レベルなのです。
ひとに聞かせるわけでなく、自分が楽しめればよいので、これで充分なのですが・・・

 

今まで、CDを聴いてはその音の運びにあこがれ、また、ジャズピアノをやってみようと思った動機でもあった「アドリブ」ですが、まるで雲かカスミのように、まったく捕えようがありませんでした。
練習しようにも、どうして練習すればよいのかもわからない、という状態でした。

 

そこで、基本に戻って、最近練習している「枯葉」を参考にして、「アドリブという得体の知れないもの」をまず、頭の中でおおまかにイメージとして捕えてみようと思いました。
今までの長い人生の経験から、頭の中でイメージをつかめたときから、習い事は急速に進歩するという確信があったからです。
習い事に限らず、仕事の面でも当てはまりました。

 

目指すのは、「アドリブ」そのものではなく、「アドリブ」を入れる「枠組み」の確認、言い換えれば、「アドリブ」をするための踏切台を確認することです。
ただし、これは、あくまでも我流で考えたことなので、間違っている場合は、悪しからず!

 

「枯葉」の曲は、A(8小節)A’(8小節)B (8小節)C(8小節)32小節で構成されています。
この構成は、全体として、物事の進み方を表わす「起承転結」を形作っています:「起(A)・承(A')・転(B)・結(C)」
曲中の部分的な「起承転結」は、音楽用語の「ⅡーⅤーⅠ(ツー・ファイブ・ワン)」で表されます。
物事が起こり(起・Ⅰ)、進行し(承・Ⅱ)、急転回を遂げ(転・Ⅴ)、収まります(結・Ⅰ)

 

わかりやすくするため、「枯葉」のコードを単純化すると、主要な「ⅡーⅤーⅠ(ツー・ファイブ・ワン)」は2つに絞られます。
① Cm - F7 - B♭
② Am - D7 - Gm
①は3小節から成り、3箇所で出てくるので、曲全体では9小節分になります。
②も3小節から成り、5箇所で出てくるので、曲全体では15小節分になります。

 

合計すると、「枯葉」1コーラス32小節のうち、実に4分の3に当たる24小節が「ⅡーⅤーⅠ(ツー・ファイブ・ワン)」で占められているのです!
残り8小節は、「ⅡーⅤーⅠ(ツー・ファイブ・ワン)」の橋渡しや休止部と見ることができます。

 

すなわち、一見複雑な様相を呈するコード進行は、極論すれば、すべて「ⅡーⅤーⅠ(ツー・ファイブ・ワン)」に還元されてしまう、ということなのです!
アドリブを練習するには、「ⅡーⅤーⅠ(ツー・ファイブ・ワン)」に的を絞ればいいのです!

 

「ⅡーⅤーⅠ(ツー・ファイブ・ワン)」の気に入ったフレーズを、CDや楽譜から採取し、指に慣れるまで練習し、フレーズストックを増やしていけばいいのです。
キーを調整すれば、どの曲のフレーズも使えるはずです。
そのとき、最初に紹介したCD "boys mature slow" (Senri Oe) が役立つことでしょう・・・

 

ターゲットは "ⅡーⅤーⅠ"、S-h-o-o-t!!

 

 

 

「9番目の音を探して」と ジャズコード F7

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今日は月曜日、孫娘の初登校日です。
金曜日に入学式を終えたばかりの「ピカピカの一年生」です!
眠い目をこすりながらも、おニューのランドセルを背負って出かけていきました。(ガンバレ!ちびまる子!じゃりン子チエ!)

 

さて、前回触れた「9番目の音を探して」(大江千里の中で、ジャズピアノに関して印象に残った箇所を紹介します。
クラスで、自分の弾くコードの響きが、まわりのジャズの響きから浮いているように感じた著者は、仲間の一人、マイクがのびのびと弾いている鍵盤に目を凝らします。

 

「9番目の音を探して」よりの抜粋。
・・・僕は必死にマイクの背後から、彼の指のコードの押さえ方を盗み見ようと試みるが、動きが速すぎてなかなか把握できない。F7というコードを、どうやらマイクは僕のように下から「ファミ♭」とは押さえていない。
「ね、マイク。申し訳ない。マイクのF7の押さえ方を僕の携帯で写真撮らせてくれないかな」
藁をも掴む気持ちで聞いてみる。「いいよ」とぶっきらぼうにもう一回F7を鍵盤の上で弾いてくれるマイク。下から「ミ♭」写真にはそう写り込んだ。そんなコードの押さえ方、今まで見たことも触ったこともない「連なり」だった。・・・

 

ポップミュージックなどで使う、F7のコードの一般的な押さえ方は「ファ・ラ・ド・ミ♭」です。
2年前にこの本を読んだときは、F7がどうして「ミ♭・ソ・ラ・レ」になるのかわかりませんでしたが、今では、次のように推測できるようになりました!

 

[推測1]
ファミ♭(一般的な F7)
 ⬇
ミ♭(ベースが弾く「1番目の音ファ」や「5番目の音ド」を省く)
 ⬇
ミ♭(音を転回=入れ替える)
 ⬇
ミ♭(緊張感を出す不協和音=テンションの「9番目の音ソ」「13番目の音レ」を加えたジャジーな F7)

 

[推測2]
構成音の分析は上のとおりですが、どうしてこの形にしたのかの推測です。
ジャズの一般的なコード進行は、「Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ」(ツー・ファイブ・ワン)となります。
この流れでいくと、F7(Ⅴ)の前は、Cm7(Ⅱ)がくるはずです。
Cm7 から F7 に移るとき、できるだけ指の動きを少なくしようとします。

Cm7ミ♭シ♭(「1番目の音ド」を省き、テンション「9番目の音レ」を加えた形)
 ⬇
F7 :ミ♭(左手人差し指の「シ♭」を左へ半音ずらして「ラ」に移動するだけ!)

 

そろそろじゃりン子チエのお帰りだッ、これでおしまい!!