これまで作者も作品もまったく知りませんでした。
読もうと思い立ったのは、あるテレビ番組を見たからでした。
最近、ネットが思うように使えなくなったこともあり、テレビをよく見るようになりました。
そういう中、ふとテレビをつけるとNHK BSで変わった画面が流れていました・・・
米粒ほどの車の流れを見下ろす高層マンションガラス張りの窓際のベッド。
五十前後の男性が何百ページもの紙のかたまりを両手で持ちながら静かに読んでいる。
ベッドの端の方に猫が昼寝をしている。
少し離れた小テーブルの上にも別の猫がうずくまり辺りを眺めている・・・
ナレーションなし。
BGMもなく現実音だけ。
音を発するものがないのでただただ静かな時間が過ぎていくだけ・・・
ベッドの男性も2匹の猫もお互い干渉せず、自由に浸っているそれぞれの世界。
むむ?と思いながらも最後までその静かな世界を見守ってしまいました。
そのベッドの男性が吉田修一氏だと分かりネットでググると、芥川賞作家でその受賞作が「パーク・ライフ」だったのでした。
「パーク・ライフ」にも静かな時間が流れていました。
毎日公園を訪れる青年と、ふとしたことで知り合ったちょっと変わった女性との触れ合いを描いた物語。
なんだか青年と女性が、ベッドの作者と猫に見えてきたのでした・・・
過ごしてみたい高層マンションに流れる静謐な時間!!