定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「ミレニアム5 復讐の炎を吐く女」と「スウェーデン元首相暗殺事件」


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現在発売されている「ミレニアム・シリーズ」の最新巻「「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女」を読んでいます。
作者は、世界的なベストセラーとなった最初の3巻を書いたものの出版前に心臓発作で亡くなってしまったスティーグ・ラーソンの跡を継いでシリーズの第4・5巻を書き上げたダヴィド・ラーゲルクランツです。

 

作者が変わって同じシリーズを引き継いで書くというのは難しそうに思えますが、第4巻でみごとにその役割を果たし、今読んでいる第5巻でも読者の期待を裏切りません!
これらの物語で一番魅力的な登場人物は?
それは、痩せてパンク風でボーイッシュな小柄の女性!
ジムのボクシングで体を鍛え、量子物理学の数式を読み、コンピューターに精通し、厳重な政府機関のネットワークにも簡単に入り込むスーパー・ハッカー
リスベット・サランデル(Lisbeth Salander)!

 

彼女は、物語の主人公のダンディーな中年ジャーナリストと付かず離れずの関係で事件の謎を解明していきます。
とにかく面白く読者を飽きさせません!
第5巻でも冒頭から、女子刑務所に収監されたサランデルは刑務所内区画長を手玉に取り、同じく囚人でありながら所内を牛耳り凶器を所持し弱いものイジメするボス女囚を物の見事にノックアウトしてしまいます!

 

今月1日の電子版仏語新聞「Le Monde」の書評欄を iPad Pro で眺めていたとき「ミレニアム・シリーズ」の作者スティーグ・ラーソン(Stieg Larsson)の文字が目にとまりました。
見出しはこうでした。
「Affaire Olof Palme/Rouvrir l'enquete avec Stieg Larsson」(オロフ・パルメ事件/スティーグ・ラーソンと共に調査再開)(写真上)

 

オロフ・パルメ事件とは、スティーグ・ラーソンが存命中、国民に人気のあった元首相オロフ・パルメが夫人と映画館から出たところを銃で暗殺された事件です。
事件は犯人が特定できず未だに未解決のままです。
途中、拘束された容疑者を、犯人の顔を見ていた元首相夫人が犯人だと証言したにもかかわらず、奇妙にもその容疑者は釈放されその後不慮の死を遂げています。
事件の背後にはとてつもなく暗い闇が隠されているようです・・・

 

「Le Monde」の記事は、最近発売された、ジャン・ストックラッサというジャーナリストが書いた本「La Folle Enquete de Stieg Larsson」(直訳すると「スティーグ・ラーソンの途方もない調査」)を取り上げ、その題材となったオロフ・パルメ事件も詳しく解説しています。

 

スティーグ・ラーソンは生前、パルメ暗殺にショックを受け、事件を徹底的に調査を行いました。
スティーグ・ラーソンが残した事件に関する記事やメモ、手紙などは、スティーグ・ラーソンに引き続いて事件を調査しているジャン・ストックラッサの本の中でもそのままの形で30ページにわたって掲載されているそうです。

 

「Le Monde」の記事や他のネット情報を読んでいてオヤッ!と思ったことがありました。
これは訳者解説やその他でも目にしたことがないので、たぶんオリジナルなオヤッ!なのでしょう。
ミレニアムの魅力的な登場人物の女性の名は、
Lisbeth Salander!
暗殺された元首相夫人の名は、
Lisbeth Palme!
どちらも同じ「Lisbeth」!
おそらくスティーグ・ラーソンは巨大な闇に立ち向かうスーパーウーマンを、暗殺された元首相夫人の名前から取ったのだと思います。

 

スティーグ・ラーソンは、自身が徹底的に調査したオロフ・パルメ事件を基にスウェーデン社会の暗部を描くため「ミレニアム・シリーズ」全10巻を計画していたそうです。
それが、第1巻刊行の直前に50歳の若さで突然心臓発作でこの世を去ることになりました。
なにかしらそこにキナ臭さと背筋に寒気を覚えるのはわたしだけでしょうか・・・

 

面白さとおぞましさ満載の「ミレニアム・シリーズ」!!