定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「ダンス・ダンス・ダンス」と「村上レストラン」


スポンサーリンク

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ここ数ヶ月の間、ほとんど村上春樹氏の本ばかり読んでいました!
読み始めてしばらくして突然ハマってしまい、何を読んでも面白く、また、読んでいて心地よくて手ばなせなくなりました!

 

別の作家の本を読んだあと再び村上氏の作品に戻り長編小説ダンス・ダンス・ダンスを読み始めました。
すると、どうでしょう!
あのリズミカルで心地よい平明な文章!
すぐに酔いしれました!

 

これは氏のデビューから10年後、39歳のときの作品ですが、一部の登場人物からそれまで発表した三部作風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険の続編の感を呈しています。
一人称小説なので、つい主人公と作者がダブって見えてしまうのですが、主人公は実にマメで几帳面な性格です。

 

●スーパーで買った食品をいちいちラップに包んで冷蔵庫に保管する。
●冷蔵庫の中も時々きれいに拭く。
●料理も食材名を一つひとつ挙げて調理する。
●服は小まめに洗濯したりクリーニングに出したりする。
●視線を向ける相手の服装は頭から足元にいたるまで入念にチェックする。
●特に女性に対しては軽妙な会話のやり取りをし、ほとんどキレることがない。
(これらは作者の性格を反映しているのでしょうか?)

 

この作品の中で、主人公の34歳の青年が13歳の少女の不思議な魅力に感じ入る印象的なシーンがあります。
「本当に綺麗な子だ、と僕は思った。じっと見ていると心のいちばん深い部分に小さな石を投げ込まれたような気がする。そういう種類の美しさなのだ。くねくねと穴が複雑に折れ曲がっているし、そのすごく奥の方だから普通なら届きっこないのだが、彼女はそこにきちんと小石を放り込むことができるのだ。」

 

村上氏独特の比喩を使ったみごとな表現ですが、こういうのも含めて氏の文章は、読者の複雑にくねくね折れ曲がった心の奥底にまできちんと送り届けるパワーを持っています!
宅配便中型トラックどころか軽トラでさえ入り込めない迷路のように曲がりくねった狭い裏通りの家にさえ、何の苦労もなく安々と荷物を届けてしまうドローンのようなものです!

 

あるいは、食べたいものが食べたいときにタイミング良くちょうどよい分量でテーブルに運ばれるよくいきとどいたレストランのようなものです!
「村上レストラン」!
満足した読者はリラックスした心地良さで至福のひとときを過ごせるのです・・・

 

次の料理が楽しみだ「村上レストラン」!!

 

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)