いや~、なつかしいことこの上ない!
この小説を最初に読んだのは50数年前、なんと半世紀以上も前!
確か高校受験に受かった後の春休みに読んだっけ?
春の暖かい日差しを受けながら、主人公のハンス少年の身の上を案じたことが思い出されます。
物語の最初の方でハンスが受験勉強に没頭する様子が描かれていて、過ごしたばかりの自らの受験生活に重ね合わせページを繰りました。
当時、ヘルマン・ヘッセの作品は青春小説の必読書で、とりわけ「車輪の下」はその入口に当たるようなものでした。
ですが、それから世の中が大きく様変わりし、この小説の世界はますます遠ざかり、今ではヘッセの作品は顧みられることもほとんどなくなりました・・・
今回、このなつかしい小説を再読し、初読のときは気にもかけなかったことに注目しました。
それは、主人公が日々過ごす生活環境。
この小説は作者ヘッセの自伝的小説なので、作者が少年時代を過ごしたのは日本で言えば明治の中頃、ドイツの田舎でした。
電気はまだ通っていなくて主人公は毎夜ランプの灯で受験勉強に勤しみます。
自動車もなく馬車で移動、ただ汽車は走っていました。
神学校を退学したハンスは機械工になりましたが、その作業場のベルトは水力で動いていました。
もちろん、今世界的に問題となっている手軽で便利なプラスチック製品もありません。
コンビニもスーパーもホームセンターもドラッグストアもシネマコンプレックスもファミレスもありません。
それでも主人公やその他の登場人物の行動や心情はよく理解できます。
生活環境は大きく変わりましたが、案外人間の本性は変わらないのかもしれません・・・
小説は時を超えてワープするタイムマシン!!