「少年時代」(深水黎一郎)を読みました。
この作品のことも作者の名前も知らず、ふと図書館で手にした文庫本でした。
最近、引越しなんかもあって落ち着いて本を読む余裕がありませんでしたが、やっと落ち着いてきて本への関心も戻って来たのでした。
解説によると作者はミステリー作家のようですが、この作品に限ってはほとんどミステリーぽくありません。
もともとミステリーにあまり興味がないので好都合でした。
読み始めると、まず、文章が心地よい!
むずかしい言葉を使わずスイスイ読めてしまいます。
それでいて繊細な心の機微もみごとに表現されています。
チンドン屋のあとを夢中になってついていく少年が生き生き描かれています。
また、捨てられた子犬を拾って帰り、両親に反対されながらも飼うことになり、子犬とともに成長し、最後は犬の最後を看取る少年の悲しみも、自分の少年時代を振り返るようで懐かしさを覚えます。
圧巻は、後半の高校柔道部の厳しい練習に明け暮れる日々の物語です。
高校部活の柔道といっても、単なるクラブ活動という甘いものではなく、ある意味命をかけて柔道に取り組むという烈しいものでした。
そうそう、柔道モノといえば、団塊シニアにお馴染みの白黒テレビ番組「柔道一直線」がありましたっけ!
それから、これを読んでいる時、3年前に読んだ増田俊也氏の「七帝柔道記」を思い出しました。
どちらもオリンピックなんかで有名な立ち技中心のJUDOではなく、絞め技や関節技ありの日本式柔道が描かれています・・・
さらなるもうひとつの「柔道一直線」!!