定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「紙の月」「空白の五マイル」と「女と男の物語」


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まったく毛色の異なる本を2冊読みました。
いわば「女と男の物語」!

紙の月 (ハルキ文庫)

まず女の物語、「紙の月」(角田光代
4年余り前に映画化され、宮沢りえが主演し話題になりました。
日本アカデミー賞の優秀作品賞に選ばれ、宮沢りえも最優秀主演女優賞に輝きました。
映画は見ていなかったので、女性銀行員の横領事件を扱ったものというくらいしか知りませんでした。
たくさん出ている角田氏の本は読んだことがなかったので一度読んでみよう、ということで読み始めました。

 

日常の生活になにか物足りなさを感じる専業主婦が銀行に勤めはじめます。
仕事に慣れてきてパートからフルの契約社員になり、それにつれてそれまでの補助的な業務から一人に任せてもらえる責任ある業務へと変わっていきます。

 

そういうときに、ふと、後の事件へと発展していくことになる、ほんのささやかな「きざし」が現れます!
それから、徐々に徐々に進み、気がついたときには思わぬ深みに入り込んでいて愕然とします!
この自覚のないまま少しずつはまり込んでいく描き方がみごとです。
ちょうど、夜空のきれいな満月に時間の経つのも忘れて見入り、ハッとしていつの間にか月の位置が変わっているのに気がつくような感じ・・・

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)

この揺れ動く女性心理をきめ細かく描いた物語と正反対の極にあるのが「空白の五マイル」(角幡唯介です。
これこそゴツゴツしたまさしく男の探検ノンフィクション!
角幡氏の探検モノをはじめて読んだのは、ブログにも上げた3ヶ月余り前の「極夜行」でした。
一日中太陽の出ない真冬の真っ暗闇のグリーンランドをさまよい歩くという壮絶な探検記でした!

 

今回読んだ本は、それから10年さかのぼった角幡氏の若き日の探検記でした。
氏は一時新聞記者をしていたこともあり、文章も書き方もとにかくうまい、面白い!
本を読むのは遅い方なのに、300ページも1日で読了!

 

チベットの秘境「ツアンポー峡谷」に魅せられ許可証を持たないまま単身現地に飛んだ氏は、人類未踏の「空白の5マイル」を目指して道なき道をさまよい歩きます。
途中、一旦はギリギリのところで死を免れましたが、最後とうとう食料も体力も尽き果て絶体絶命・・・

 

時を忘れさせる「女と男の物語」!!