定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」と ムラカミ・プライベート・ライフ


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夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)

「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」(村上春樹)を読みました。
この本は、1997年から2011年の間の村上氏への国内外のインタビューを集めたものです。
氏は、テレビやラジオをはじめとしてマスコミには基本的には出ない方針だそうです。
そういう意味では、このインタビュー集は氏のナマの意見や考え、さらには氏のプライベート・ライフが伺える貴重な本となっています!

 

このインタビュー集で、わたしが特に興味を惹かれたところを引用します。

 

氏の十代の頃の趣味や教養の糧となったもの。
(同世代の一般的な若者とは教養面において驚異的・圧倒的な違いを見せています!)

 

「僕は一人っ子でした。両親と僕一人が生活していた家で、僕は自分だけの独自の世界をもっていました。その世界を構成していた三つの主要な要素が、音楽と本と猫だったんです。」

 

「十四歳か十五歳のときは一晩中、ロシアの古典文学を読んで過ごしました。今でも『戦争と平和』をむさぼり読んだときの幸福感を覚えています。今までに『カラマーゾフの兄弟』は四回読みました。」

 

「十八歳の頃、僕は十九世紀ヨーロッパの古典を読んでいました。主にトルストイドストエフスキーチェーホフバルザックフロベールディケンズです。彼らは僕のヒーローでした。・・・高校生のときから英語で本を読むようになりました。そしてハードボイルドとサイエンス・フィクションの世界を発見し、レイモンド・チャンドラーカート・ヴォネガットリチャード・ブローティガン、それにスコット・フィッツジェラルドを発見したんです。すべて英語で読みました。」

 

氏の特異な小説の書き方。
(氏は、本当に骨の髄まで音楽が染み込んでいるようです!)

 

「僕は本当はミュージシャンになりたかったんだろうと思う。でも楽器もとくに得意じゃなかったし、だから作家になったんです。文章を書くのは、音楽を演奏するのに似ています。最初にテーマを書き、それをインプロヴァイズします。そして結末に向かう・・・というような。」

 

「でも二十九歳になって突然に、何かを書きたくなったのです。書き方なんて分かりませんでした。どうやって小説を書けばいいのか分からなかったのです。それで考えたのが、音楽を演奏するみたいに書けるのではないか、ということでした。僕はピアノを弾きましたから。僕に必要だったのは、リズムとハーモニーと即興性でした。」

 

アッと驚く短編小説の書き方。
(ホントにそんなんでできるんですか?と疑いたくなります!)

 

「何でもいいんです。なるべく意味のないことがいい。たとえば、そうだな、『サルと将棋を指す』とか『靴が脱げて地下鉄に乗り遅れる』とか『五時のあとに三時が来る』とか(笑)。そうやって脈絡なく頭に浮かんだことを二十ほど書き留めておくんです。リストにしておく。それで短編を五本書くとしたら、そこにある二十の項目の中から三つを取り出し、それを組み合わせて一つの話をつくります。・・・不思議だけと、こうやると短編小説ってわりにすらすら書けてしまいます。」

 

中古LP収集という氏の趣味の一つ。
(デジタルCDではなくアナログLP!)

 

「LPだけで一万枚は持っているんじゃないかな・・・午前中にはだいたいクラシックを聴いていて、ジャズは午後です。車に乗っている間はポップスやロックをかけています」

 

一般的に作家には不似合いな家事。
(作品では、登場人物がサンドイッチを作ったり洗濯やアイロンがけなどの家事をていねいにする場面がよく描かれていますが、作者自身の経験からだったのです!)

 

「執筆時間が終わると、その物語は脇に置いて、身近な単純作業をやります。アイロンがけとか料理とか水まきとか。」

 

ワイドでディープな氏の趣味の世界:音楽・本・そしてネコ!!