定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「アフターダーク」と『若草の萌えるころ』


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アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク」(村上春樹)を読みました。
この作品は、村上氏の他の長編小説とはまったく異なる構成になっています。
それぞれの章や文章の区切りのはじめにアナログ時計のイラストが描かれていて、そこに流れる時間が表示されています。

 

物語のはじめ 11:56pm
物語の終わり  6:52am
真夜中から翌朝までの夜のとばりが下りる異界を舞台として、19歳の女性が特異なできごとに遭遇しながら自分を取り戻していく物語。

 

わたしがこの作品を読もうと思ったのは、ネットでアフターダークの説明文を読んでアレッ!と思ったからでした。
そこに書かれていたのは、村上氏がこの作品を書くきっかけになったのは氏が20歳くらいの頃、あるフランス映画を見てたいへん気に入り触発されたからだそうでした!

 

そのフランス映画とは?
『若草の萌えるころ』!
アレッ!ヌヌッ!
今をさかのぼる50年(半世紀!)近くも前、わたしも地方のある大学の近くの映画館でこの映画を見た覚えがあったからでした!

 

この映画の主人公も20歳くらいの女性で、慕っていたおばさんが突然亡くなってしまいショックを受けて深夜の世界をさまよい歩き、いろんな経験をします。
学生時代に見てからはテレビで放映するのも見たことがなくずっと記憶の底に埋もれていたのが、思いもよらずネットの説明文の中で発見し、しかも、村上氏も若い頃その映画を見てとても気に入っていたというのを知ってたいへん驚きました!

 

フランス映画『若草の萌えるころ』の最後のシーンがとても印象的でした!
主人公がまだ少女で大好きなジタおばさんと「かくれんぼ」をして遊んでいます。
少女が手で目をふさいで地面にかがんでいます。
ジタおばさんはうれしそうにあたりを見回してかくれる場所を探し、少女のすぐ後ろの木の茂みにかくれます。

 

少女は立ち上がってジタおばさんを探し始めますがなかなか見つかりません。
木の茂みの中も探しますがそこにもいません。
とうとう少女は泣き出しますが、ジタおばさんは永遠に消えてしまったかのように現れません。
少女の泣き叫ぶ声だけがいつまでもいつまでもこだまします。
「ジタおばさん!ジタおばさん!・・・」
(Tante Zita! Tante Zita!・・・)

 

映画・本・音楽、なつかしい頃へのタイムマシン!!

 

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