定年後のゆる〜くたのしい日々

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「小澤征爾さんと、音楽について話をする」と クラシック音楽


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小澤征爾さんと、音楽について話をする (新潮文庫)

村上春樹氏とマエストロ小澤征爾氏との対談本「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を図書館で見つけ借りて読んでみました。
村上氏が対談本の中で音楽についてどういうことをどういう風に言っているのか興味を持ったからでした。
音楽の話といっても相手が小澤征爾氏ですから、対象音楽はもちろんジャズではなくクラシックです。

 

とにかく村上氏の多才さ・テリトリーの広さには驚きです!
本業の作家活動のほか翻訳にも本格的に取り組み、また、若い頃ジャズ喫茶を7年間経営するほどのジャズの素養があります。
それに加え、マエストロが「正気の範囲をはるかに超えている」と驚くくらいクラシックにも精通しているのです!

 

ジャズとクラシックの両方ともに詳しいというのはかなり珍しいのではないのでしょうか?!
かく言うわたしも、ジャズは大好きですがクラシックにはほとんど興味がありませんでした。
クラシック音楽のわたしの最初の思い出は、中学1年のときの音楽教室にさかのぼります。
ある日、音楽の授業が始まると、女性音楽教師は部屋の端に置かれていた大きな四角い重そうな箱を音楽室の真ん中、生徒たちの正面まで移動しました。

 

いつもと違う先生の所作に生徒たちは静まり返って先生の動作をじっと目で追いました。
先生は、こんどは薄べったいケースから真っ黒な大きな円盤を慎重に抜き出しました。
当時わたしは知りませんでしたが、四角い箱は「ステレオ装置」、黒い円盤は「LPレコード盤」だったのです!

 

先生は、四角い箱のフタを開けて黒い円盤をそっと置き、その後何かしているようでしたがわたしの席からは遠くて見えませんでした。
しばらくすると、四角い箱から不思議な音が鳴り出しました!
生徒たちはおしゃべりも忘れて四角い箱から鳴り響く音に固まっていました。

 

先生のあとの説明によると、ドボルザークの「新世界」のLPレコードだったのでした。
いつも自宅のテレビで見聞きしている歌謡曲やポピュラー音楽と違い、不思議な音色という印象を受けましたが、感動するには至りませんでした。
結局、中学3年間でLPレコードを聴いたのはこのとき1回きりだったと記憶しています。

 

その後、高校時代、いっちょクラシックを聴いてみようか!と一念発起して、クラシックレコードを買ってきて粗末なレコードプレーヤー(ステレオではない)で聴き始めました。
レコードは、ベートーヴェンの「運命」と「田園」、それにモーツァルトの曲(タイトル不明)!

 

♬ ダダダダ〜ン、ダダダダ〜ン・・・
なんだこりゃ~、面白くねえッ!とイライラしながらも何日か我慢して繰り返し聴き続けました。
その結果は?
やっぱり面白くねえじゃん!
その日以来、ず〜〜〜ッと、ず〜〜〜ッとクラシック音楽とは、まったく縁もゆかりもなくなりました・・・

 

ところが、半世紀を経た今、村上氏と小澤氏の対談を読んでみて、今更ながらクラシック音楽の深さにはじめて気づき、今一度妙なる調べに耳を傾けてみようかと思うほどになりました!
ちょうど対談本と合わせて発売された「『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック」というCD3枚組が図書館にあったので、借りて帰り本を読みながら聴きました。

 

それにはいろいろな曲が少しずつ収められていますが、中でも「ベートーヴェン ピアノ協奏曲第三番第二楽章 内田光子(ピアノ)」の演奏が最も印象的でした!
対談の二人も口を揃えてほめています。
村上「・・三番の協奏曲。僕はこの二楽章の演奏が何より好きなんです。・・」
小澤「音が実にきれいだ。・・この二楽章というのはもう、これ自体特別な曲ですよね。ベートーヴェンの中でもほかにこういうものはないような気がする」

 

さて、これがクラシックを聴くキッカケとなるのでしょうか?!

 

『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック

『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック