本屋で文庫本の棚に目を流していると、オヤッ?と引っかかるものに出くわしました。
変わったタイトル!
「ラオスにいったい何があるというんですか?」(村上春樹)
村上氏の作品のタイトルは、他の本のタイトルとかなり違っています。
一般的なタイトルでは簡潔で強い響きを与える漢語調がよく使われるのに対して、ひらがな・カタカナ調で柔らかい印象を与えるものが多く見られます。
欧米のミュージックに詳しい氏ならでは、曲のタイトルそのままのものもあります。
(「ノルウェイの森」「中国行きのスロウ・ボート」など)
そして、それらのタイトルには、柔らかい響きと同時にある種の不協和音も含まれています!
本の内容の予測もつかないような抵抗値の高い言葉が組み込まれているからです。
タイトルが心に引っ掛かり、思わずつぶやきます。
いったいどんな物語なんだろう?
こうして、村上氏が仕掛けたクモの網にみごとに捕らえられてしまうのです!
この「ラオスにいったい何があるというんですか?」というタイトルにわたしは引きつけられたのでした。
まったくうまくつけたものだと感心してしまいます!
もちろん、この本を買って帰り読みました!
この本は小説ではなく、「ラオス」という国名もあるように紀行文集です。
米国、アイスランド、ギリシャ、フィンランド、ラオス、イタリア、熊本を訪れた文章を集めたものです。
ここでは、世界を旅する氏のノンフィクショナルな姿や思いがカラー写真入で綴られています。
氏の愛するジャズのクラブがある米国
「ノルウェイの森」を書き始めたギリシャ
「ノルウェイの森」「ダンス・ダンス・ダンス」を書いたイタリア
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の舞台となったフィンランド
・・・
タイトルを見てオヤッ?
ムラカミ・マジック!!