定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「若い読者のための短編小説案内」と「異邦人の眼」


スポンサーリンク

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫) 

「みみずくは黄昏に飛びたつ」(村上春樹川上未映子)の中で触れられていたのがきっかけで、どんなことが書いているのだろうと「若い読者のための短編小説案内」(村上春樹)を読んでみました。
この本は、そもそも村上氏がアメリカのプリンストン大学で日本文学を教えたときの授業が元になっているのだそうです。

 

取り上げているテキストは、「第三の新人」と呼ばれている作家6人の短編小説6作品です。
それらの作家は、みんなが知っていてよく読まれているようなメジャーな作家ではありません。
わたしもかろうじて6人のうち5人の名前だけは知っていましたが、取り上げられた短編小説はすべて読んだことがありませんでした!

 

最初、本の目次を見たとき不思議感にとらわれました!
英語に堪能で、アメリカをはじめ海外の文学に精通し、また、外国にもよく滞在していた村上氏が、こんなある意味マイナーな日本文学に精通しているなんて!?
氏の作品自体が、日本文学のメインストリームから大きく隔たっているイメージなのに!

 

前書きを読むとその疑問に対する説明が書かれていました。
氏は、十代・二十代・三十代とほとんど外国文学ばかり読んでいたそうですが、四十代に入って外国に住むようになったこともあり、日本の小説に興味を持つようになったのだそうです。
言わば、「異邦人の眼」で自国文学を見直すことになったのでした!

 

まあ、そういう具合でよく知らない作家の未読作品の案内をたどってみましたが、元のテキストを読んでいないこともあり、正直なところ理解が今ひとつでした。
それでも、氏のテキストの読み解きの鋭さ、ユニークさを充分感じることはできました!

 

なかでも、氏のテキストに対する真摯な姿勢が垣間見られる箇所(3項目)が印象的でした!
氏が、授業に当たってプリンストン大学の学生に要求し、また、常日頃みずからも心掛けていることだそうです。

 

①テキストを何度も何度も読み込むこと。
②そのテキストを好きになろうと努力すること。
③読んでいるときに頭に浮かんだ疑問点を些細なことでもリストアップすること。

 

「異邦人の眼」でテキストの見え方が変わる!!