定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「みみずくは黄昏に飛びたつ」と アドリブ演奏


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みみずくは黄昏に飛びたつ

ここ2ヶ月余りの間、たて続けに村上春樹作品を7編読み通しました。
最初は、以前に村上作品を読もうとしたとき拒否反応を起こしたこともあって、果たして1冊すら読み通せないのではないだろうか?と恐る恐る読み始めたのでした!
丁が出るか半が出るか、ほとんどバクチのようなものでした!

 

ところが、ところが!
実際に読み始めると、どうしたことか拒否反応どころかグイグイ作品の中に引き込まれていきました!
それからは、読み終えるごとにまた1冊、また1冊とますますとりこになっていきました。
その理由について、ブログの中でこうだろうか?ああだろうか?と自問してきました。

 

そして、ある程度一段落した中で、今回、川上未映子氏の村上春樹氏へのインタビューをまとめた「みみずくは黄昏に飛びたつ」を読みました。
川上氏は、村上氏の全作品を繰り返し読んでいるのかと思うほど(たぶん読んでいるのでしょう)村上氏の作品に精通していて、当の村上氏が忘れている箇所もキッチリ指摘するほどでした。

 

また、たぶん村上氏は答えながら冷や汗をかいているのでは、と思われるようなツッコミも臆せず断行していました。
たとえば、フェミニズムの視点から見た女性の描き方、ノーベル賞について、政治へのかかわり方など・・・

 

この本には、川上氏のインタビューを通じて、村上氏がどのように作品を作り上げていくかが詳細に語られていました。
そこで一番驚いたのは、村上氏が書いている過程で、物語の筋道が先々どう展開していくか前もって自分で認識していない、ということでした!
アンビリーバボー!!

 

作家は、作品を書くに当たって、前もって初めから終わりまですべてを把握した上ではじめて作品を書き始めるのだと思っていたからでした!
ちょうど、建築家が家の設計図をすべて仕上げてからはじめて建造に取り掛かるように!

 

村上氏は、確固とした揺るぎないプロットを作ることなく創作に着手し、創作の過程で必要な人物たちが自然の流れで登場し、あるべくして物語が展開されていくのだそうです!
まるで、優れたジャズ・プレイヤーが、演奏前には漠然としたイメージだけを抱いているだけ、アドリブ本番で仲間の演奏やその場の雰囲気に反応して延々と音を紡ぎ出していくように・・・

 

この本こそみごとなアドリブ演奏 by 村上・川上!!