定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「ファーブル昆虫記」と「狩りバチ」


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完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上

数日前、孫の七五三のお参り申し込みに、神社へ行ったときに出くわしたジガバチのクモ捕獲(前回ブログ)がずっと気になって頭に残っていました。
もともと動物や昆虫の生態を記録した映画やテレビ番組は大好きで、欠かさず見ていました。
「アース」「ネイチャー」「ダーウィンが来た!」「プラネット・アースⅡ」など。

 

そういうメディアを通してしか見ることができない、と思っていた珍しい昆虫の生態が、突然、目の前に現れたのが驚きでした!
例えてみれば、いつもテレビ画面で見ていた有名芸能人と、突然、出くわしたときの驚き、感激!
別の例えでは、テレビや本でしか知らなかった異国の地を自分の足で踏みしめ、異国の人と同じ空気を吸っていることの驚き、感動!

 

もっと例を上げれば、まったく安全だったテレビ画面の外の自分がいる部屋の中に、突然、ビデオの「リング」の貞子が画面から這い出てきた恐怖!(例えが飛躍し過ぎか!?)
いずれも、双方接点がなかった「一般的・抽象的・疎遠なもの」が、あるとき「個別的・具体的・身近なもの」に重なり合い、高いエネルギーを放出!

 

「ハチが獲物を仮死状態にし、幼虫のエサにと巣穴へ運ぶ」という観察記録が「ファーブル昆虫記」にたしか記載されていたはず、というおぼろげな記憶を確かめようと図書館へ向かいました。
「ファーブル昆虫記第1巻上」(ジャン・アンリ・ファーブル 奥本大三郎訳)には、ファーブルが苦労して観察を続けた「狩りバチ」の生態が、豊富な写真や図を載せて詳しく記されていました。

 

「狩りバチ」が狩りの対象としたのは、タマムシ」「ゾウムシ」などでした。
タマムシ」と「ゾウムシ」は、胸部に運動中枢神経が集中しています。
「狩りバチ」は、「エサ」の胸部の急所を尻の針で正確に刺し、毒を注入します。
一瞬にして「エサ」は、死んだように動かなくなりますが、運動神経が麻痺しているだけで、その後、何日も、何週間も、ときには数ヶ月も新鮮な生身のままで生きながらえます。

 

「狩りバチ」は、巣穴に「エサ」を運ぶと、「エサ」の胸部の刺し傷の上に卵を生みつけます。
卵から孵ったひ弱な幼虫は、その傷から体液を吸いはじめ、成長するにつれて他の部位を常に新鮮な状態で食べることができます。
驚くべき本能!

 

ちなみに、「狩りバチ」は、「ミツバチ」のように一度刺したら死んでしまうことはありません。
「ミツバチ」の針には「ノコギリ状の返し」が付いていて、一度刺すと抜けなくなり、抜こうとすると「ミツバチ」の内臓が針とともに体から引きちぎられて死んでしまいます。
「狩りバチ」の針には「返し」がなく、何度でも抜き刺しできます。

 

「ファーブル昆虫記第1巻上」には、クモを狩るハチは登場しませんが、ウィキペディアで調べると、「アメリカ・ジガバチ」がクモを狩りの対象としているそうです。

 

数日前、神社で目撃したのは「アメリカ・ジガバチ」!!