定年後のゆる〜くたのしい日々

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「ボナンザ VS 勝負脳」と「人工知能」


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ボナンザVS勝負脳 ――最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)

前回、前々回に続いて将棋関連の話題です。
「ボナンザ VS 勝負脳」(保木邦仁渡辺明を読みました。
この本は、10年ほど前に出版され、当時は、コンピューターはまだまだ将棋界の脅威にはなっていませんでした。
保木邦仁氏は、東北大学を卒業後、カナダのトロントの大学で、物理化学を研究していました。
チェスの世界チャンピオンがコンピューターに敗れたのに興味を持ち、公表されたプログラムを調べるうち、自分でも趣味として作ってみようと思ったそうでした。

 

チェスは、以前からコンピューター化する研究が出し尽くされ、すでに、世界チャンピオンを負かしてしまっているので、今さらという感じでした。
一方、将棋の方では、当時、コンピューターはまだまだプロ棋士を凌駕するには至っていなかったので、保木氏は、チェスのプログラムを将棋に応用して「ボナンザ」を作り上げました。
保木氏は、将棋の実力は初心者程度らしく、それ故、指し手の選択基準を自ら定めるのではなく、すべての指し手をコンピューターに検討させる手法を取りました。

 

さらに、過去の膨大な棋譜を使い、プロ棋士が選んだ指し手を最善手とし、コンピューターに機械学習させました。
そして、今から11年前の2006年、「世界コンピュータ将棋選手権」に初出場し、いきなり初優勝したのでした!

 

その翌年の2007年、渡辺明竜王と「ボナンザ」の特別対局が組まれ、中盤まで「ボナンザ」優勢かと思われましたが、その後、悪手を指し竜王勝利となりました。
この対局の後、「ボナンザ」の作者と渡辺竜王が、対戦を振り返って書いたのが、この本でした。

 

特に面白いと思ったのは、「ボナンザ」の作者は、自身が作ったプログラムが竜王と対戦している間、どちらが優勢か分からず、近くにいた奨励会の若者に尋ねていたことでした!
自分の組んだプログラムが、いつの間にか作者の手を離れ、作者の実力をはるかに上回ってしまっている、というのは本当にアンビリバボー!

 

また、この本が出た10年前では、「電王戦」が始まるのはまだ5年先で、コンピューターがプロ棋士の前に立ちはだかり脅威となるのはまだまだ先のこと、さらには、そういう事態は到来しないだろう、というような竜王の希望的観測でもありました!
それからわずか10年後の今年、将棋界の最高位「名人」が山本一成氏の「ポナンザ」に敗れました!
ちなみに、山本一成氏が、保木氏の「ボナンザ」を参考にして作り、保木氏に敬意を払って名付けた「ポナンザ」は、この本が出た頃から作り始めたのだそうでした・・・

 

「ボナンザ」から「ポナンザ」へ、最強の「人工知能」!!