定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「スギハラ・サバイバル」と インテリジェンス


スポンサーリンク

スギハラ・サバイバル (新潮文庫)

ウルトラ・ダラーに続いて「スギハラ・サバイバル」(手嶋龍一)を読みました。
前作と同じく、日本の伝統文化や言葉に造詣が深い英國諜報員が主人公となり、大学時代の友人である米国諜報員と協力し、現実の表舞台にはその姿を見せないけれども、政治・経済・軍事などに大きな影響を及ぼす闇の存在を解明すべく、世界を舞台に活躍します。

 

そして、本作では、第二次大戦中、リトアニア領事館に赴任し、ナチスドイツの迫害を逃れて来たユダヤ人に「命のビザ」を発行したことで世界的に有名な杉原千畝に助けられた、タイトルにもなっている「スギハラ・サバイバル」の少年たちにまつわるストーリーとなっています。

 

トーリーの各所で、作者のインテリジェンスに関する深い知識が披露されますが、その中で、記述箇所はわずかですが特に印象に残ったものがありました。
たとえば、テロ組織アルカイダは、「9.11」では、その思いもよらない襲撃方法で世界を驚愕の渦に落とし入れましたが、さらに、その裏で、事件後の株式暴落を見越して大量の株式取引を行い、多額のテロ資金を調達していたのではないか?!
また、「9.11」が起きる前、その攻撃の可能性を事前に把握していた組織が存在したのではないか?!

 

このインテリジェンス小説は、主人公が、その非凡な才能を駆使して謎を次々と解明していく過程を追い、爽快感を覚えさせてくれますが、同時に、現実世界の深い闇にも触れることになり、鉛を飲み込んだような重苦しさも感じました。

 

今日のように、科学技術や経済システムが高度に発達した社会では、核開発技術や金融システムなどのように、その高度な技術やシステムがひとたび悪用されれば、人類全体に致命的な影響を及ぼしかねない、という、いわば諸刃の刃を持ってしまった、という戦慄を覚えた物語でもありました・・・

 

「サバイバル」に無くてはならない、インテリジェンス!!