定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「クライマーズ・ハイ」と 日航機墜落事故


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クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ」(横山秀夫を読みました。
最初、読み始めると、登山のシーンが描かれ、次に地方の新聞社内へと場面展開します。
これから始まるストーリーもまだ把握できていないこともあり、もうひとつ乗れない気分で読み進みました。

 

ところが、ほどなく日航機行方不明のテレビニュースが報じられ、ここからストーリーの展開は急変します!
さらに、機体が新聞社管轄区域内に墜落したことで、望まない報道責任主体の重荷を突然背負わされ、新聞社内は戦争状態に突入します。
ここで一気に心臓を鷲づかみにされ、あとは最後までグイグイ引っ張られてしまいました・・・

 

主人公は、屈折した40才の社内で最古参の記者で、意にそぐわないながら日航機墜落事故報道の全権デスクを任されます。
彼は、陰がある反面直情型でもあり、同僚や上司、果ては社長に対してまでも、理不尽な決定に立ち向かいます。
社内派閥の主導権争いから、掲載記事がボツにされたりしますが、彼はひるみません。
そして、ついに、大手紙を凌ぐ大スクープをものにしようとします・・・

 

作者は、小説家になる前、日航機墜落事故が起きた当時、地元群馬の新聞記者だったそうです。
その経験が、全編に生かされ、細部の描写に至るまで納得させられます。
そして、なによりも、32年前の夏に起きた日航機墜落事故そのものが、ストーリーに多大なリアル感を与えています・・・

 

わたしが、この本を読もうと思ったのは、この未曾有の航空機事故が題材になっていることからでした。
32年経ったとはいえ、それだけ事故の衝撃が大きかったのでした。
連日、テレビや新聞で伝えられる事故の惨状、自衛隊のヘリコプターにロープで引き上げられ救出される少女の中継場面・・・

 

当時勤めていた会社のある営業社員の話しを聞いて驚いたのを覚えています。
彼は、1985年8月12日、東京での出張業務があったので、東京から大阪に帰る夕方便を予約しようとしましたが、盆で満席だったため空席の残っていた1つ後の便に乗らざるを得ませんでした。
そして、満席で彼が乗り損ねた便こそ、墜落した日航機123便だったのでした・・・

 

ONE MORE NICE STORY,  NO MORE AIR ACCIDENT!!