おもてで騒がしい音が聞こえます。
クァ~ッ!クァ~ッ!クァ~ッ!
あッ、ヤバイッ!とあわてて玄関前へと走り出ました。
門の前のビニール袋の下部に小さな穴が開いていて、周りに野菜のクズが散乱しています。
やられた~!
あたりを見回しましたが、黒い影は見えません。
ふと見上げると、少し離れた家の屋根からこちらの様子をうかがっている黒い物体があります。
カラスです!
ゴミ袋を破り中の残飯を引っ張り出したのです。
最近、ゴミ収集日にどこからか集まって来て、手分けしてあちこちのゴミ袋をあさりまくるのです。
犯人を特定した後、いったん家に戻りました。
「敵」との息詰まる攻防戦の火蓋が切られたのです!
窓を少し開け、屋根の上にひそむ「敵」を注視しました。
「敵」はさかんに首を動かし、周りやこちらの情勢を探っています。
と、突然こちらの方向に首が向きました!
アブナイッ!あわてて窓際から飛び退きました!
「敵」は、人間の数倍も優れた視力を持っているのです!
窓の小さな隙間なんかお見通しです。
しばらく姿を見せなくして、「敵」を油断させることにしました・・・
気づかれないように時間をおいて外をうかがうと、「敵」は警戒しながらも、潜んでいた屋根から別の屋根に移り、それから電柱、近くのフェンスへと、徐々に近づいてきました。
そして、ついにゴミ袋の近くに降り立ったのです!
鋭いクチバシを突き立て、か弱いビニールに迫ってきます!
はたして、ゴミ袋の運命や、いかに?!
そのとき、一陣の風が起こり、ドアが押し開かれ、「敵」めがけて突進するものがありました!
この時とばかり、わたしが庭ぼうきを振りかざし、カラスに襲いかかったのでした!
バタバタ、クァ~ッ!クァ~ッ!
不意をつかれたカラスは、思わぬ襲来にうろたえ、あわてふためき、黒い羽をバタつかせ、命からがら飛び去って行きました・・・
記憶力も優れたカラス、当分やって来ないでしょう!!