上下巻1,100ページ余の大部な「樅ノ木は残った」(山本周五郎)を読み終えました。
この本を読もうと思ったのは、遠い昔の思い出からでした。
中学生のあるとき、学校から帰宅すると祖母が、当時のブラウン管白黒テレビで時代劇を見ていました。
あくる日もそのあくる日も、祖母は時代劇を見ていました。
何を見ているのだろう、と思って、チキンラーメンを食べながら祖母といっしょに時代劇を見始めました。
それが「樅ノ木は残った」だったのです。
その時代劇は、平日の夕方、毎日放映されていました。
おそらく、一度放映されたあと、再放送で夕方の時間に毎日放映されていたのでしょう。
ストーリーもはっきりとは覚えていませんでしたが、仙台藩の伊達騒動に題材をとった作品で、主人公の原田甲斐(はらだかい)は、みずからあえて汚名を着て、お家お取り潰しを防ぐためにみずからの身を捧げ、最後に、庭の樅の木だけが残る、という内容でした。
大部な江戸時代の伊達藩(仙台)の物語は、いったん読み始めると面白くてなかなか本を置くことができませんでした。
スキあらばお家(伊達藩)を潰そうと狙っている得体の知れない「魔の手」に気づいた原田甲斐は、次々と仕掛けられる罠にはまらないよう、細心の注意を払って行動します。
身近な家臣の中にも、原田甲斐の動きを絶えず見張り、その情報を伝える者が紛れているようなのです!
お家を守るという目的を遂げるため、自分の本心を隠し、また、味方をもあざむき、常に沈着平静に努め、的確な判断で一歩一歩着実に歩を進めていく、ストイックな姿・・・
原田甲斐が、なんとも魅力ある人物に描かれています!
たくさんの「章」がある間には、「断章」というタイトルの「章」がいくつも挟まれています。
そこでは、「魔の手」の一味の相談する様子が描かれています。
見張りから集めたさまざまな情報を吟味し、原田甲斐の本心を見極めようとし、そして、次の罠の計画を練ります。
本を読み進みながら、自分も主人公の原田甲斐と同じように、絶えず監視され、得体の知れない不安な状況に置かれているような錯覚を覚えてしまいます!
果たして、原田甲斐は、その思いを遂げることができるのでしょうか?!
「樅ノ木」とともに永く残れ、Chromebook!!