「死の淵を見た男−吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日−」(門田隆将)を読みました。
この本を読もうと思ったのは、5年半前に起きた未曾有の災害(大地震・津波)によって引き起こされた福島第一原発事故について、当時のニュースなどで断片的な知識しか得ていなかったので、そのとき現場ではいったい何が起きていたのか知りたい、と思ったからでした。
5年半前の3月11日。
関西には大地震の揺れはほとんど届きませんでした。
家族に呼ばれて居間のテレビの画面を見た時、わたしはいったい何が起こっているのか、すぐには理解できませんでした。
ヘリコプターから、すべてを飲み込みながら仙台平野を突き進む津波の映像が中継されていました!
また、その翌日、はるか遠くから望遠レンズで画面に映しだされた原子炉建屋が、凄まじい噴煙を上げ、一瞬にして消えてしまいました・・・
東日本大震災の大地震と大津波は、東北や関東の太平洋沿岸に甚大な被害をもたらすとともに、福島第一原発を全電源喪失の危機に落とし入れました。
電源がなければ、原子炉を冷やす冷却水を送り込めません。
冷却水がないと原子炉の温度が上がり、メルトダウンが起こり、果ては、原子炉の爆発という最悪の事態を招きかねません!
この本で特にわたしが注目したのは、震災の日から外部電源が復帰するまでの十日余りの間、原子炉1号機と2号機の間にある窓もなく電源喪失のためほとんど真っ暗な中央制御室、それに免震重要棟の緊急時対策室などで、吉田所長の司令のもと、作業員や自衛隊員などが、放射能汚染の恐怖と戦いながら、どのような活動を行い最悪の危機を脱したのかが描かれているところです。
所長をはじめ作業員たちは、不眠不休の活動を行い、疲労の極みに至ってもなお休むことなく、事態を好転すべく努力しました。
トイレは、作業員たちの血尿で赤く染まったそうです!
そして、ついに電源が復帰し、徐々に収束へと向かうことになりました・・・
作業員たちの土壇場の底力と信念を後世に伝えよ、Chromebook!!