今日、霧雨がそぼ降る中、奈良の長谷寺へ行って来ました。
参拝する人もまばらで、ゆっくりお寺を回ることができました。
月曜日で天気も悪かったことと、奈良は京都と違い交通の便が今ひとつ、ということがあるのでしょうか。
外国人もほとんど見かけませんでした。
人気(ひとけ)のない、雨に煙る古(いにしえ)の都のお寺を訪ねるのも、風情があっていいものでした・・・
「登廊(のぼりろう)」と言う屋根のついた399段の石段を登り、「本堂」に安置されている高さ10mの「十一面観世音菩薩」を拝み、「五重塔」や雨に濡れる紫陽花などをカメラに収めました。
途中、立て看板の「二本(ふたもと)の杉、源氏物語」の表示に惹かれ、案内のとおり細い道を下って行くと、高く立派な杉の木の前に来ました。
この杉の木は、写真のとおり、上は二本の木ですが下の根本は一つにつながっているので「二本(ふたもと)の杉」と呼ばれ、「永く会いたくても会えなかった人に巡り会える」ことを意味しているのだそうです。
「二本(ふたもと)の杉」は、「源氏物語」の歌に出てきます。
昔、幼い娘を残して亡くなった夕顔の侍女と、今や美しい姫君に育った夕顔の娘、玉鬘(たまかずら) が、長谷詣(はせもうで)の途中、感動の出会いを遂げ、長谷寺でともに仏に祈り、歌を交わします。
[侍女の歌]
「二(ふた)もとの 杉のたちどを尋ねずば ふる河のべに 君を見ましや」
(二本(ふたもと)の杉の立っているこの寺を訪ねなかったら、古い川のほとりで姫君に会えたでしょうか)
[姫君、玉鬘(たまかずら)の歌]
「初瀬河(はつせがわ) はやくの事は知らねども けふのあふ瀬に 身さへながれぬ」
(初瀬川の流れは早く、昔の事は知らないけれど、今日、やっとあなたに会えて、この身が涙で流されてしまいます)
平安時代、都の貴族は競って「長谷詣(はせもうで)」に出かけ、紫式部や清少納言も長谷寺を訪れています。
紫式部もこの「二本(ふたもと)の杉」の前に、しばし佇んだことでしょう・・・
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