定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

「坂の上の雲」と Chromebook


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坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

 

 先ほど、1ヶ月余りかけて文庫本で全8冊の「坂の上の雲」(司馬遼太郎)を読み終えました。

 明治時代の日露戦争を舞台にしたこの本をそもそも読もうと思ったきっかけは、あるテレビ番組を見たからでした。

 団塊世代向けのEテレ団塊スタイル」で、ある団塊世代の男性の生活を追っていました。

 彼は、事業に失敗し、借金を背負い、結婚もできず、年老いて、ほとんど家具のないアパートの部屋でほそぼそと年金暮らしをしています。

 特に趣味もないので、時間つぶしに図書館で本を借りて読書をするようになりました。

 それまでは、ほとんど本は読んだことがなかったそうです。

 ある時、「坂の上の雲」を読み始め、その面白さに取りつかれ、読み終えた時「人生観が変わってしまった」というくらい強い衝撃を受けたそうでした。

 

 この本が書かれたのは30数年前で、わたしは一度この評判の高い物語を読もうと思い、単行本第1巻を買って読み始めたことがありました。

 そして、数十ページ読んだところで、何て面白くないのだろう!と本を投げ出してしまい、以来手に取ることがありませんでした。

 それから30数年が流れ、わたしの生活環境、考え方や嗜好、社会状況などが大きく変わりました。

 以前は日本の歴史、特に現代史に興味を持たなかったのが、最近、自分の育ってきた過去を振り返るように、日本の過ぎ去った過去の事実を知りたいという思いが強くなってきました。

 また、テレビで見た、人生のほとんどすべてを失った人の人生観を変えてしまうような物語とは、どのような内容なのだろうと興味もわき、改めて読みはじめました。

 

 物語の前半は、明治のはじめ、松山出身の互いに交流のあった3人の生い立ちを追っています。

 正岡子規と秋山兄弟の3人です。

 正岡子規は、それまで廃れていた俳句や短歌を再評価し、写生を唱えて新しい道を切り開いていきますが、肺結核で病死してしまいます。

 秋山兄弟の兄は陸軍、弟は海軍に入り、物語の後半に展開する日露戦争で、それぞれ日本軍を勝利に導く重要なキーパーソンの役割を果たすことになります。

 軍隊の装備、兵力など圧倒的にロシアが日本を上回っていたなかで、奇跡的な勝利が導かれます。

 改めて読みはじめると、30数年前に本を放り出したのが嘘のように、夢中になって先へ先へと読み進めることになり、特に、日露戦争の陸海の戦闘シーンは息もつかせぬ面白さでした。

 また、物語の面白さと同時に、明治時代についても考えさせられました。

 明治維新によって社会の仕組みや目指す方向が180度変わり、新たにスタート地点が仕切り直され、どの方面でも若者が一定の能力を持ち、努力しさえすればその道の権威になれるのでした。

 今の時代の、大勢の権威が岩盤のように立ちはだかって若者の行く手をさえぎっているような閉塞感はまったくなかったのでした。

 明治時代は、時代の求め進む方向と、個人の求め進む方向が一致していた、ある意味、明るく、希望に満ちた、幸福な時代だったということができると思います。

 この後、大正から昭和、それから不幸な敗戦へとたどっていくことになるのですが・・・

  

 パソコンも飛躍的な躍進を遂げた後、現在、成熟というのか停滞状態に陥っています。

 この閉塞感を打ち破るのは、はたして Chromebook でしょうか?

 

 明治の時のように、新しい道を切り開け、 Chromebook !!