定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

日本橋とChromebook


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 二三十年前の大阪日本橋界わいは、活気を呈していました。

 特に休日には人が一杯で、目指す電機店に少しでも早く行って新発売のパソコンに触れてみたいとあせっても、歩行者がじゃまでなかなか進めないくらいでした。

 大阪の日本橋は、「にっぽんばし」と言って、東京の「にほんばし」とは発音が異なります。

 東京の秋葉原のように、大型電機店、電気部品店、電気中古品店など(メイドカフェはまだないよ!)が集中するゴチャゴチャした街でした。

 当時は、人数の多い団塊の世代がまだ若くて活動的だったのと、また、アマゾンも楽天もジャパネットもなくて、パソコンやアプリケーションソフトを手に入れるには、まず店へ行かなくてはならなかったので大勢人が集まったのでした。

 

 日本橋は、南北に通る堺筋をはさんでその両側に長く連なる街でした。

 ある時、北から南の方へ一軒ずつ店を覗いて行ってやろうと思いたちました。

 順に店を覗いて行く途中、古いビルの入口横の張り紙に目が止まりました。

 きちんとした看板ではなく、普通の紙にアルファベットの社名とその下に「3F」という文字が書かれていました。

 「ソフト」という文字も確か入っていたと思います。

 入口は開いていたので、「なんだろう?」と好奇心旺盛で階段を登って3Fの廊下に出ました。

 階段も3Fの廊下もガランとして誰も見かけません。

 廊下は薄暗く、床も壁も天井も古びて、ところどころ内装がめくれ上がっていました。

 廊下の中ほどのある部屋の入口に、下で見た社名を印刷した紙が貼ってあり、扉は開いていました。

 入口を少し入ると、部屋に入る手前の壁に張り紙があり、内容を読んでみると、どうやらアプリケーションソフトのコピーをする業者のようでした。

 

 その時、突然、部屋の中で音がして扉が開きました!

 現れたのは、紺のストライプのスーツにエナメル靴、濃いサングラスに頬に傷のある大男!!

 ではなくて、か細い学生風の若者が、入口に人の気配を感じたので出てきたのでした。(ホッとしました!)

 張り紙の内容を尋ねると、コピーの説明をしてくれました。

 フロッピーディスクを持参すると、市販のアプリケーションソフトをその価格の10%の値段でコピーしてくれる、というのでした。

 当時、アプリケーションソフトは高価で、表計算ソフトExcel の前身 Lotus 1-2-3 などは10万円もしていました。

 このコピーは明らかに違法でした。

 学生がアルバイトでこんなことをしているのかと思い、そのまま部屋を出ました。

 

 何日か過ぎた夜、自宅でテレビを見ていると、大阪の日本橋で違法コピー業者が摘発された、というニュースが流れました。

 瞬間、あの業者じゃないのか、と思いましたが、短いニュース画面ではハッキリわかりませんでした。

 それから何日か過ぎたある休日、日本橋を歩いている時、あの古びたビルの前を通りかかりました。

 入口の方を見ると、社名を印刷した紙はなくなっていました・・・

 

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