定年後のゆる〜くたのしい日々

〜読書、語学、パソコン、音楽などをたのしむ日々のくらし〜

将棋 と ジャズピアノ

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 昨夜、将棋の藤井四段が、棋士になってから公式戦負けなしの26連勝を記録しました!
まだ中学3年生だというのにすごいものです!
今は単独2位の記録ですが、あと3勝すれば単独1位になれます!
サイン入り扇子や写真入りクリアブック、いわゆる「藤井グッズ」も大人気で発売直後にすぐ売り切れてしまいました。

 

最近では、たまに日曜日の朝、Eテレで将棋を見る程度ですが、若い頃、一時夢中になったときがありました。
小学生のときから近所の子たちと将棋はよくやっていましたが、学生の頃、はじめて「定跡」の存在を知ったとき、大げさに言うとショックを受けたほど驚いたのを覚えています!

 

「定跡」とは、長い年月に渡り、先人が考え出し、研究された後、最善とされた将棋の指し手のことです。

「定跡」というものがあるのを知ってから、「定跡」を覚えようと将棋の本を夢中で読みあさりました。
「定跡」さえ覚えれば、向かう所敵なし!と思いました。
どこからでもかかってこいや~!!
「定跡」を覚えだしてからは、友達との将棋の対戦で、いつも「定跡どおり」を心がけて指すようになりました。

 

それからは、対戦相手をバッタバッタとなぎ倒し!
ところが、現実はそうはならなかったのでした!?
勝ち続けるどころか、かえって「定跡」を覚える前よりもよく負けるようになったのでした!?
どうして?!なんで、こうなるの?!

 

冷静に考えてみると、なんでもかんでも強引に「定跡」を使おうとするあまり、そのときそのときの戦いの局面を判断し、適切な指し手を選ぶことをしなかったからでした!
要は、「定跡レベル」と「自分の実力レベル」のギャップが大きく、「定跡」に振り回されていたのでした。

 

今になって思う「将棋上達の道」は、「定跡」を勉強しつつ、あくまでも個々の対戦で自分なりに最善の手を模索し、実戦経験を積む中で、「自分の実力レベル」を「定跡レベル」に少しでも近づけること、これだと思います!
そのレベルに近づいてはじめて、「定跡」が、実際の局面の中で活かされるのでしょう。
このことは、将棋だけに限りません。
たとえば、「ジャズピアノの上達法」にも応用できると思います。

 

最近、ジャズピアノでアドリブをなんとかできるようになりたいと思い、「アドリブフレーズ集」を買ってフレーズを覚えるようにシコシコ練習しています。
この「アドリブフレーズ」は、将棋でいえば「定跡」に当たります。
一方、自分のアドリブなんかはまだまだ問題外なので、「アドリブの実力レベル」と「アドリブフレーズレベル」の間に巨大なギャップがあります!

 

従って、「ジャズアドリブの上達法」としては、「アドリブフレーズ」をシコシコ覚えつつ、キーやコードに基づいた、あくまでも自分なりのアドリブを下手なりに数多く練習し、できるだけ「アドリブフレーズレベル」とのギャップを縮めるようにすることなのです。
理屈は分かったとしても、言うは易し行うは難し・・・

 

アドリブへのなが~い道のり、日暮れて道遠し!!

 

 

 

 

 

「スギハラ・サバイバル」と インテリジェンス

スギハラ・サバイバル (新潮文庫)

ウルトラ・ダラーに続いて「スギハラ・サバイバル」(手嶋龍一)を読みました。
前作と同じく、日本の伝統文化や言葉に造詣が深い英國諜報員が主人公となり、大学時代の友人である米国諜報員と協力し、現実の表舞台にはその姿を見せないけれども、政治・経済・軍事などに大きな影響を及ぼす闇の存在を解明すべく、世界を舞台に活躍します。

 

そして、本作では、第二次大戦中、リトアニア領事館に赴任し、ナチスドイツの迫害を逃れて来たユダヤ人に「命のビザ」を発行したことで世界的に有名な杉原千畝に助けられた、タイトルにもなっている「スギハラ・サバイバル」の少年たちにまつわるストーリーとなっています。

 

トーリーの各所で、作者のインテリジェンスに関する深い知識が披露されますが、その中で、記述箇所はわずかですが特に印象に残ったものがありました。
たとえば、テロ組織アルカイダは、「9.11」では、その思いもよらない襲撃方法で世界を驚愕の渦に落とし入れましたが、さらに、その裏で、事件後の株式暴落を見越して大量の株式取引を行い、多額のテロ資金を調達していたのではないか?!
また、「9.11」が起きる前、その攻撃の可能性を事前に把握していた組織が存在したのではないか?!

 

このインテリジェンス小説は、主人公が、その非凡な才能を駆使して謎を次々と解明していく過程を追い、爽快感を覚えさせてくれますが、同時に、現実世界の深い闇にも触れることになり、鉛を飲み込んだような重苦しさも感じました。

 

今日のように、科学技術や経済システムが高度に発達した社会では、核開発技術や金融システムなどのように、その高度な技術やシステムがひとたび悪用されれば、人類全体に致命的な影響を及ぼしかねない、という、いわば諸刃の刃を持ってしまった、という戦慄を覚えた物語でもありました・・・

 

「サバイバル」に無くてはならない、インテリジェンス!!